~日本人としてできることはなにか~
皆さんの親族やお友達の中にもこの震災で被害にあわれた方がいると思います。 心からお見舞い申し上げますと共に、行方不明になっていらっしゃる方は、無事でおられることを祈っています。また、不幸にして亡くなられた方には、心よりご冥福をお祈りいたします。
今回の大震災は、日本民族が経験したことのない、世界史においても人類が経験したことがないほどの「大災害」となっていることは、皆さんも知っているとおりです。
ついこの前まで、のどかな田園・漁村風景が広がっていた美しい東北の町々が、あっという間に瓦礫(がれき)の山と化してしまいました。
亡くなられた方・行方不明の方は、万を超えます。
福島原発の事故も憂慮(ゆうりょ)すべき事態になっています。
このような「国難」ともいうべき大災害にもかかわらず、被災地では「略奪」もなく、理性的に行動する日本人を見て、海外の特派員からは驚嘆の声が上がっています。
人間の本質が最もよく表れるのが、困難にぶつかったときです。私たちは、被災地の「同胞(どうほう)」の皆さんを、同じ日本人として誇りにしていいと思います。
その誇るべき「同胞」を何としても国力を挙げて救わねばなりません。今私たちができることをやろうではありませんか。
幸い私たち関東圏に住む者は、被災を免れました。しかし、いつ何時われわれも同じ境遇になるかもしれないのです。
人間が他の動物と異なる点は、「学習(勉強)すること」と「他人の苦しみを感じること(これを「同苦(どうく)」といいます)」です。
平凡な日常がどれだけありがたいことかを噛(か)みしめませんか。電気も水も何不自由なくある。友達がいて、家族がいて、学校に行けて、塾まで行ける。感謝の心を持ちたいと思います。そして、被災地の方の苦しみ・悲しみに「同苦」できる人間になりましょう。
しかし、皆さんにできること(節電もその一つです)には限界があります。ファインズ・グループでは義援金を募っていますので、できる範囲でお願いします。この義援金以外に、皆さんができることがあるのです。
それは、「他者より満たされている者の責任」です。ファインズ生徒の皆さんは、恵まれた環境にいます。それを素直に感謝してください。皆さんの責任とは、「学習すること」です。不満を言わず、「責任」を全うしましょう。
避難場所で、寒さに凍(こご)えながら宿題の勉強をしている皆さんと同世代の子供たちがテレビに映っていました。私は涙を抑えることができませんでした。
親兄弟を亡くしながら、年下の子供たちを励ましている高校生がいました。
両親を亡くしたにもかかわらず、叔母を励ましている小学生の男の子がいました。
皆さんが「責任」を行動に移さないなら、被災地の子供たちから「僕たちと立場を代わってくれ!」と言われてしまうでしょう。
原発の問題もこれからいろんな議論が沸き起こるでしょう。皆さんには、事実・情報をきちんと把握し、自分たちのことだけではなく、子々孫々にわたる価値判断から意見を言える大人になってもらいたいと思います。
皆さんの成長が、第2次大戦以来の「国難」を立派に乗り越える糧(かて)となります。
一緒に頑張っていきましょう。
(2011.3.18)