~意味のない結果などはない~
中学入試も終了し、高校入試もあとは県立・都立の入試を残すのみとなりました。
早いもので、ファインズでも6回目の卒塾生を送り出すことになりますが、毎年この時期は悲喜こもごもの風景があちこちで繰り広げられます。
大手の塾とは違い、ファインズでは少人数制による細やかな指導により、今年も二人に一人が難関・最難関中学に合格することができました。
ファインズのスタッフは、全員を第一志望校に合格させるため全力で指導していますが、残念ながら「夢」をかなえられないご家庭もあります。まず受かるだろうという生徒が落ち、試しに受けるだけ受けてみようかという生徒が、偏差値で15以上の学校に合格したりと、「天」はなんと気まぐれなのだろうかと毎年思います。
30年近くも「受験」と付き合ってくると、いろいろな場面に遭遇します。
【お子さんを塾に毎回車で送迎し、お弁当を作り塾に届け続けること3年。いつの間にか母子一体となって模試の結果に一喜一憂して迎えた入試。結果は第一志望校に不合格。母親はこの結果を受け入れられずに、虚脱状態に陥り、夫の非協力的な態度が不合格の一因だと責め、家庭内別居の状態に・・・】
【代々続く開業医を継がせるため、嫁として、どうしても医学部進学ができる進学校か医学部のある大学付属校に入れなければいけないとのプレッシャーから、無理な併願パターンを組み全滅。そのため母親はうつ病に・・・】etc.
このような例は高校入試ではあまり見かけません。しかし、中学入試では、これに近い状況は珍しいことではありません。
では、なぜ中学入試に多く見られるのでしょうか?
それは「親と子の距離」の距離によるのだと思われます。このコラムで前回までに書いてきた「親子密着」の問題です。
受験準備中の親子の姿勢・距離感については、前回までのコラムを参考にしていただくとして、今回は「受験後、親が心がけなければいけないこと」について述べてみたいと思います。
ファインズでは小学、中学、高校、大学とすべての受験生をお預かりしていますが、特に中学受験の場合が不合格になったときの親のショックが激しいように感じます。
高校、大学受験ともなるとすでに自立し、自我も確立しているため、親の言うことはなかなか聞いてはくれません。また、親も子供の能力については、幼児期や小学生ほどは過度の期待はしなくなっていますから、ショックを受けるのは多くの場合本人なのです。
ところが、中学入試の場合、ややもすると親子一体になって受験に取り組む家庭が少なくありませんから、受験した本人以上に親が精神的に落ち込み、それを引きずるケースがあります。
親のショックが長引き、家庭内がギクシャクすると、子供は「私が落ちたからこんなことになってしまった。自分が悪いからだ。」と罪悪感を持ち自分を責めてしまうことになります。
それでは子供は逃げ場を失い、心に傷を負ってしまいます。
「振られた学校のことをあれこれ悔やみ、恋焦れるより、求愛された学校を好きになるほうが価値的な学校生活を送れる」と考え方を変えてみてください。
例え全部に振られてしまったとしても、「3年後、6年後に振り向かせられるように成長してみせるぞ」と、今回の結果を成長の糧に変えてください。
「人生に意味のない結果などはひとつもない」と先達はいいます。その通りだと思います。
しかし、意味のあるものにするか否かは、一にかかって自分の心の持ち方次第ではないでしょうか。
大人なら誰でも知っています。「人生と言う航海は荒波の連続だ」ということを。
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「艱難 汝とわが子を玉にす」と前向きに捉えることが大事だと思います。
受験後、親が心がけるべきことをまとめてみましょう。
- 「挫折も糧」と気持ちを切り替えること。親が不合格にこだわり続けると、子供は自分を責めるようになってしまう。
- 母親のフォローは父親が積極的に行うこと。父親の手に余ることは専門のカウンセラーに早く相談すること。
- 家族全員での小旅行や食事会で気分転換をするのも効果的。
- 親がショックを受けている様子は見せない。ただ、やさしく見守ってあげること。兄姉親族や同級生の結果と比べての愚痴は絶対禁物。
最後に、「お父さんとお母さんはね、あなたが健康で明るく成長してくれるだけで幸せなんだよ。どこの中学の制服を着るかは重要ではないんだよ」というメッセージだけは伝えてはいかがでしょうか。
この文章を書いている今、すでに2011年度入試に向けて勉強がスタートしています。
一人でも多くの子供たちが憧れの制服に袖を通すことができるように、ファインズのスタッフも新たな気持ちでがんばっていきたいと思います。
(2010.02.12~2010.02.22)