先日ジャズピアニスト河野康弘さんの「被爆ピアノ平和記念コンサート」が国分寺で開かれましたので参加をしました。その暖かい人柄にふれ、多忙な中でともすれば忘れがちな人への思いやりを思い起こし、しばし幸福な時間をすごさせていただきました。

河野さんとは、ファインズ開校以来のお付き合いです。ファインズでは、生徒の皆さんに生きた学問を少しでも体験してもらうため、社会で活躍する方々をお招きして「ヒューマン講演会」を開校1年目から行ってきました。これまでに「東大地震研の先生」「三鷹天文台の先生」「五輪メダリストの黒岩彰さん」「ネパールの子供たちに井戸掘り等の支援を行っている増田さん」等々各界で活躍されている方々に協力していただいています。

河野さんのことは「新聞」を通して知りました。ある時、新聞を何気なく見ていると、「南アフリカの子供たちに中古ピアノを寄贈」という文字が目に留まりました。
『全国には約600万台のピアノがあり、そのうち450万台は使われず「物置台」となっている。(皆さんの家にも「大きな花置き台」となっているピアノはありませんか?)多くの木を切り倒し作ったピアノが使われもせず、放置されるのはピアノに申し訳ない。そこで、調律をしたうえで、南アフリカの学校に寄贈している。しかし、船便代がかさむため寄付を集めている』ということでした。

何とか協力できないものだろうか。日本の子供たちは本当に恵まれている。そのことをさりげなく教えるためにも、ぜひファインズで協力できることはないだろうか。
そこで、ファインズでコンサートを開いていただくことにしました。残念ながら、塾にピアノはありませんから、ギターを使ってのコンサートです。子供たちはお手伝いをして貯めたお金を握り締めてコンサート会場(教室)に集まってきました。

このヒューマンコンサートは、子供たちに新鮮なショックを与えたようです。

豊かな日本と同じ時代を生きていながら、世界中には2200万人以上のストリートチルドレンが今日も食べるものがなく、学校にも行けないで懸命に生きています。
その現実に触れたとき、子供たちは自分達がいかに恵まれているかという境遇に自然に感謝の気持ちが湧いてきます。

河野さんがこれまで行ってきた「平和への行動」は、この「被爆ピアノコンサート」にも脈々と受けつがれていました。同時多発テロから9年を迎えた今年、ハドソン川沿いの公園で開催された「被爆ピアノコンサート」は、静かな波動のように感動は世界に広がっていきました。
そして、広島の平和記念公園で河野さんが行ったコンサートは、テレビ・新聞等で報道されて反響を呼んでいました。そのコンサートが国分寺で行われたのです。

会場探しは苦労されたようです。国分寺障害者福祉センターの喫茶室を利用した「小さな会場」は、決して華やかさはありませんでした。しかし、そこを埋めた人々の善意は、その小さな空間を宇宙大の広がりにしていました。 ささやかな取り組みでしたが、このような取り組みがあって初めて「平和」も確保されるのだとつくづく感じた2時間でした。
コンサート終了後、とんぼ返りでピアノを広島まで運ばれた調律師の矢川光則さん。本当にありがとうございました。

(参考)
河野康弘さんHP http://www.ne.jp/asahi/wahaha/wahaha/
地球ハーモニーHP http://www.wahhahha.com

(2010.9.29~2010.10.14)