~海外留学生の減少を危惧する~
首都圏の中学入試も明日からいよいよ本格的に始まります。
こうして原稿を書いているときも、一人でも多くの子供たちが志望校に合格してほしいと念じられずにはいられません。
さて、サッカーのアジアカップで日本が2大会ぶり4度目の優勝を果たしました! 深夜の放送でしたが、苦戦・悪戦苦闘の連続で、ついつい大きな声を出してしまい、思わず口をふさいでしまいました。ザック監督の采配も見事でしたが、リザーブの選手たちも自分の出番が来るまでモチベーションを切らさず、実力を出すことができたのには感心しました。一昔前のジャパンであれば、「得点力不足」「競り合いの弱さ」で、勝ち抜くことはできなかったでしょう。
なぜ「サムライ・ブルー」はかくも逞しくなれたのか。私は優勝カップを掲げる遠藤選手を見ながら考えました。
細かい分析は、専門家に任せるとして、ひとつ気がついたことがあります。 初めて日本がワールドカップに出た1998年フランス大会、選抜メンバーの中に海外で活躍する選手は一人もいませんでした。後にイタリアで活躍することになる中田英寿選手もこの時はベルマーレ平塚の所属だったのです。
ところが、今度のアジアカップの先発メンバーを見ると、なんと海外所属の選手は8人にもなります。
ベスト4に進出した、韓国、ウズベキスタン、オーストラリアもヨーロッパ等の海外で活躍する選手が多くいることでは共通しています。
言葉・食事・習慣等が異なる異国の厳しい生存環境の中で、孤独と戦い、技術を磨き、精神を鍛える。「世界で戦う」には何が必要か。今回のジャパン・ブルーの選手たちは、私たちに大きなヒントを与えてくれていると思います。 先日、「日本の留学生の数が大きく減少している」との報道がありました。今回の若きジャパンの選手たちとのギャップが引っ掛かりました。
昨年秋「ハーバード大の日本人留学生数韓国人の1/8,中国人の1/7」というショッキングな記事がでて話題になりました。
ハーバード大といえば「白熱教室」が話題になり、NHKでも東大での授業が紹介されていました。そのハーバード大の日本人留学生が激減しているというのです。
2009年の留学生666人のうち日本人はわずか5人。韓国人42人、中国人36人、インド人20人と比べ、その少なさは際立っています。
また、つい最近も日本の留学生数が大きく減少しているという報道が出ていました。
そこで、国ごとの留学生総数を調べてみると、中国約40万人、韓国約11万人、インド約15万人となっていました。これに対し日本は約5万5千人でした(2007年調査)。
留学先をみると、アメリカには中国人約10万人、韓国人6万4千人、インド人8万6千人に対し、日本人はわずか3万6千人にすぎないのです。
日本は中国のわずか約1/3なのです。中国の人口は日本の10倍あるのだから仕方がないとう問題ではありません。そして、この数字は、2008年9月のリーマンショック以降さらに減っていると思われます。
この傾向は留学生だけではありません。海外に長期派遣される研究者の数も減少しています。2000年の7674人から2009年3739人と半減しているのです。
また、アメリカの大学院の博士号取得者の出身大学別ランキング(2008年)を見ても、あの東大でさえ425位(23人)にやっと顔を見せるだけなのです。
これに対し、中国の大学は、清華大がなんと1位(472人)にランクされており、ベスト10に3大学も入っています。
留学生の減少にみられる日本の若者の「内向さ」は、グローバル化の時代に合って、日本の決定的なマイナス要因になるかもしれません。
この「内向き」傾向は、「豊かさ」が原因だという評論家もいます。しかし、日本と同じように経済発展を遂げたお隣の韓国は、PISAの順位も下がっていませんし、留学生の数も減少してはいないのです。日本だけがどうして「内弁慶化」していくのか、今のところ知識人たちにもはっきりした原因がつかめていません。
昨日、わが社でも来年の新卒を採用するため、「キャリア・フォーラム」に参加をしました。新卒の就職率が7割を切る厳しい時代ですから、わが社のような中小企業にも多くの学生たちが参加をしてくれ、少しばかりうれしい思いをいたしました。
その時感じたことがあります。
「女子学生のはつらつさに比べ、男子の弱さ」が目立ったのです。全体の3分の2は女子と思われるくらい多かったですし、「質問ありませんか」と言って、手を挙げるのは女子ばかり。「私をとらないと会社の損です!」とばかり積極的に自己アピールをしていました。
それに比べ、男子のひ弱なこと。さすが「草食系」といわれるだけのことはあります。
業種を絞るでもなく、ただブースの前をウロウロしている男子学生も目立ちました。中には、フォーラムの担当者に「この会社の説明を聞きたいの?」と言われ、コックリ頷いて席に案内される男子までいるではありませんか。 同じ男として、「なさけなかぁ!」と思わずうなってしまいました。
この女子の積極さは、女子の就職が厳しいから、その真剣さが表れているだけではなさそうです。女子のほうが、目標がはっきりしているのに対し、男子は「何となく」という割合が高いのです。それが行動に表れているのかもしれません。
日本人全体に「夢」が無くなったような気がします。友達に笑われるような「夢」を語る子供が少なくなりました。
外国で活躍するサッカー選手は、例外なく「夢」(野望といってもいいかもしれませんが・・・)を持っています。いや、「夢」持たずして、海外に出ていきたいなどとは思わないでしょう。
もう一度、「夢」を持ちませんか?「でっかい夢」を!
(2011.1.31~2011.3.10)