私の時計で朝6時過ぎといっても、現地時間は真夜中3時。こんな時間に到着して、これからどうするのか、同行したバングラの友人におそるおそる聞いてみました。

すると彼曰く、「ダイジョブ、ダイジョブ。わたしの友達むかえにきてる。」

「そうかぁ、なら安心かな。しかし、この人数が税関を通るのにずいぶん時間がかかるだろうなぁ。」と考えながら並んでいると、どうやら税関では一人ひとりお金を払っているようでした。「ははぁん、だから時間かかるんだな」

そのとき、係の人が一人ひとりパスポートのチェックをしながら、私の前に来て顔を見ると、「Are you Japanese or Chinese? 」というではありませんか。

パスポートを見ればわかるだろう、と思いましたが、「I am Japanese.」と隣のブースに聞こえるような大きな声で答えました。

すると、こちらに来い、と手招きをするではありませんか。後についていくと、中国人、欧米人とは異なり、日本人はフリーパス。お金は払わなくてもOK。私以外の日本人数人もあとに続いていました。

単純な私は、「バングラディシュはなんという良い国か。親日国だ。」と感激してしまいました。

手荷物を回収し、外に出ました。手荷物を引いていると、ポーターらしき男性が近づいてきて、なにやら現地語でわめいています。どうやら手荷物を預ければ持っていくと言っているようなので、預けようとすると同行のバングラ人が、慌てて駆け寄ってきてその男から私の手荷物を取り上げたではありませんか。

「ナカノサン、ココハ ニホンデハアリマセン。カンタンニ シンヨウシテハ イケナイ!」「ニモツ ナクナルヨ。」

気を取り直して、キャリーバッグを引きずっていると、フェンスの向こうに何やら動くものがあるではありませんか。なんだろうと、じっと目を凝らすとそれは何百という人・ひと・ヒト。なんでこんな時間に人が集まっているんだ?

しばらくすると、大音量のコーランが拡声器から響いてきました。

こうして、3年間で12ケ国訪問となるアジア歴訪第1日が始まりました。

 

(2021.6.1 つづく)