100年に一度しか咲かない花という意味で「センチュリー・プラント」と呼ばれる「アオノリュウゼツラン」ですが、実際には30年~50年くらいで開花するそうです。

成長時は人の背丈ほどもない、大きなアロエのような肉厚でトゲのある葉を広げていますが、開花が近づくと、中心から一本の木のような茎を遥か見上げるほどに高く伸ばしていきます。

開花準備の始まっていないアオノリュウゼツランの葉(サンプル写真)

今回紹介するのは、沖縄県那覇市首里にある世界文化遺産「園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)」のアオノリュウゼツランです。

園比屋武御嶽石門の向かって右手に移植された「アオノリュウゼツラン」

1986年にこの場所に移植されてから36年目、2022年6月に高く茎を伸ばして開花準備が始まったことを知らされ、8月下旬に訪沖予定があったぼくは大きな期待を寄せていました。ところが、8月に入ってすぐに、ついに開花したとのニュースが流れ、タイミングが合わなかったことに一時はがっかりもしました。

けれども、8月25日に首里城を訪れてみると、何とアオノリュウゼツランの花はまだ咲き続けていたのです。

 園比屋武御嶽石門とアオノリュウゼツラン

守礼門をくぐって歓会門へと向かう緩やかな坂道の途中に園比屋武御嶽石門はあります。

写真は2022年8月25日の園比屋武御嶽石門で、右手に高く伸びているのがアオノリュウゼツランの花です。過去に一度も開花の記録がないことから、1986年にこの場所にアオノリュウゼツランが移植されて以来、記念すべき初の開花となります。

ちなみに、アオノリュウゼツランは一度の開花で枯れてしまう花ですが、成長段階で周囲に子株を増やしていくので、開花=世代交代と考えることができます。

果たして、次に開花するのは100年後なのか、あるいは30年~50年程度の期間なのかわかりませんが、この歴史的瞬間に立ち会えたことは今回の訪沖の大きな成果のひとつとなりました。

文責:石井