古典文学の学習に必要となる旧暦の季節の分け方は以下のとおりです。
①春 1月~3月(立春~立夏の前日)
※つまり旧暦では1月1日が立春だったわけです。今でもその名残で、お正月に「新春」と銘打ったテレビ番組が放送されたり、年賀状に「迎春」という言葉が使われたりします。間違えやすい季語に「竹の秋」「雪崩(なだれ)」などがあります。暦の上では「立春」から「立夏」の前日までが春という定義ですので、2021年のカレンダーに従えば2月3日~5月4日が春ということになります。
②夏 4月~6月(立夏~立秋の前日)
※「五月雨」と書いて「さみだれ」と読みますが、これは梅雨を意味する言葉ですので夏の季語となります。他に間違えやすい季語に「麦の秋」「春蝉」「涼し」などがあります。夏の定義が4月~6月であるとすれば、確かに5月は夏のさなかとなります。同様に5月の行事である「端午の節句」「鯉のぼり」等の言葉も夏の季語です。暦の上では「立夏」から「立秋」の前日までが夏という定義ですので、2021年は5月5日~8月6日が夏となります。
③秋 7月~9月(立秋~立冬の前日)
※「七夕(たなばた)」は7月7日の行事ですので秋の季語となります。お月見をする「中秋の名月」は秋の真ん中である「中秋」という言葉を冠しているので8月15日(十五夜)の満月(望月)を指しています。「名月」「天の川」「星祭(ほしまつり)」「星月夜」など天体に関する季語が多いのも秋の特徴です。間違えやすい季語としては「朝顔」「夜寒」「枝豆」などがあります。暦の上では「立秋」から「立冬」の前日までが秋という定義ですので、2021年は8月7日~11月6日が秋となります。
④冬 10月~12月(立冬~立春の前日)
※暦の上では「立冬」から「立春」の前日までが冬という定義ですので、2021年は11月7日~翌2022年2月2日が冬となります。間違えやすい季語としては「枯野」「小春日(小春日和)」「若菜」などがあります。
以上のことから分かるとおり、旧暦と新暦ではおよそひと月のずれがありますが、感覚的には「春」は3月から、「夏」は6月(梅雨)から、「秋」は9月から、冬は12月からといったイメージですので、ふた月ほどの開きがあるように思います。
季節感が損なわれつつあることを憂慮するというような大げさなことでは決してありませんが、折々季節の風物詩を紹介がてら「暦の話」を連載していこうと考えています。
文責:石井