秋の星空はタレントが不足しがちで、夏の星空ほどの賑わいもなく、ましてや冬の絢爛(けんらん)たる星座たちの競演とは比べるべくもありませんが、それでも例えばペガススの大四辺形を見るのは結構好きなぼくです。わずかに狭まっている四辺形の二辺を北に伸ばすと大きなとんがり帽子の三角形ができます。その頂点が北極星の在り処(ありか)を指し示してくれるのをご存知ですか。北極星の道しるべとしてはおおぐま座の北斗七星やカシオペア座がポピュラーですが、ペガスス座も実は北極星のポインターとなっているのです。一度試してみてください。

今日は出先から深夜になって帰宅したために、この秋最初のオリオン座を見ることができました。折りしも牡牛座のプレアデス星団(通称スバル)が南中しています。
オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンを結ぶ冬の大三角こそ有名ですが、シリウスを起点にプロキオンへ、そしてベテルギウスへは向かわずに、天頂方向へ双子座のポルックスを経由してぎょしゃ座のカペラまで、そこから牡牛座のアルデバランへ折り返してオリオン座のリゲルを経由し、シリウスへと一周すると冬の大六角もしくは冬のダイヤモンドと呼ばれる壮大な星図が描けるということを知っている人物にはなかなかお目にかかりません。

かつてエマートンという詩人が「星空が千年に一度しか見られぬものとすれば、人類は、昔は夜空に神の宮殿が現われたことがあるそうだという伝説を言い継ぎ語り継ぎするだろう」と書いたのもなるほどと頷けます。
今年の中秋の名月は9月18日。明後日の日曜日です。
10月に入るとジャコビニ流星群に始まって、オリオン座流星群、牡牛座流星群、11月の獅子座流星群、そして毎年最後を飾る12月の双子座流星群まで、まるで運動会のリレーのように入れ替わり立ち代わり流星群の活動が活発となります。
たまにはゆっくりと星空を見上げてみてはいかがでしょう。

運よく流れ星を見つけることが出来るかもしれません。

 

※2022年の中秋の名月は【暦の話⑲】でご紹介した通り9月10日でした。

文責:石井