二十四節気や五節句と言った暦日以外に、生活の中から自然発生的に生まれた民俗行事・年中行事が暦に記されるようになり、これを総称して「雑節」と呼びます。
雑節には「節分、彼岸、社日(しゃにち)、八十八夜、入梅、半夏生(はんげしょう)、土用、二百十日、二百二十日」があり、【暦の話】でも既にいくつか取り上げています。

さて、これら雑節の中に数字を冠したものが三つあります。「八十八夜」「二百十日」「二百二十日」ですが、これらは立春の日から数えた日数を表しています。

「八十八夜」は5月2日頃で、

♪ 夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉がしげり~ ♪

と唱歌にも歌われている「茶摘み」の季節となります。

「二百十日」は9月1日頃、そして「二百二十日」が9月11日頃にあたり、今年はどうやら大丈夫な様子ですが、台風の特異日とされています。

 

「二百十日」「二百二十日」で思い出すのは、宮沢賢治さんの「風の又三郎」です。

遠い記憶をたどって、ネタバレにならない程度に、少しばかり紹介することにします。

 

「一人の少年が東北の寒村の小学校に転校してきたのは、二百十日の激しい風の吹く日。転校生の高田三郎は髪が赤く、目が黒くて丸い不思議な姿の少年でした。5年生の嘉助という少年が、ガラスのマントと靴を履いて空を飛ぶ三郎の夢を見たこともあり、小学生たちは彼を「風の又三郎(風の神の使い)」ではないかと疑いながら付き合い始めます。

その後、三郎は二百二十日の台風の日に忽然と姿を消し、いくつかのエピソードを残して、わずか十日余りで転校していったと先生に告げられるのです。」

 

小学生のとき、学校行事で観劇したのが、この「風の又三郎」でした。

♪どっどど どどうど どどうど どどう

どっどど どどうど どどうど どどう

甘いリンゴも 吹き飛ばせ

すっぱいリンゴも 吹き飛ばせ

どっどど どどうど どどうど どどう

どっどど どどうど どどうど どどう♪

劇の内容はすっかり忘れてしまったのに、なぜか今でも、この歌の歌詞とメロディがよみがえります。

 

最近の小学校でもこの「観劇」の行事は行われているようで、「アニー」や「レ・ミゼラブル」や「ライオン・キング」などの大作が選ばれているようです。

【暦の話】からはだいぶズレてしまいましたが、以上「二百十日と二百二十日」に関する独り言でした。

文責:石井