目的地は「京都」とだけ決めて出発したので、さてどこへ向かおうかと一瞬迷いました。が、時間制限のある旅ですから、悩む時間ももったいないと思い切って、行く機会のほとんどなかった宇治方面を散策してみようと奈良線みやこ路快速に乗りかえました。

「宇治」といえば「宇治茶」、そして源氏物語「橋姫」から「夢の浮橋」までの宇治十帖の舞台。最近では2015年に京都アニメーションが手掛けた「響け!ユーフォニアム」の舞台になった場所でもあります。

アニメの聖地巡礼に赴くファンも多いと聞きます。

宇治の観光案内所に飾られていた「響け!ユーフォニアム」の看板

宇治の駅を出て、10円玉のデザインでおなじみの「平等院鳳凰堂」は後に回し、まずは宇治橋を渡って世界文化遺産に登録されている「宇治上神社」を目指します。

うさぎのおみくじでも知られる宇治上神社本殿は日本最古の神社建築で、向かって右(左殿=第一殿)から菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)、中央(第二殿)に応神天皇、向かって左(右殿=第三殿)に仁徳天皇の三柱が檜皮葺(ひわだぶき)のひとつ屋根の下に並んで祭られています。

 

拝  殿             本  殿

菟道稚郎子は応神天皇の第三子でしたが父の寵愛(ちょうあい)を受けて後継ぎの皇太子となります。ところが、そのことを恨んだ長兄に軍を差し向けられ、兄弟同士の権力争いに絶望した菟道稚郎子は皇位を次兄(後の仁徳天皇)に譲って自ら命を絶ったといわれています。

宇治七名水のうち現存する最後のひとつ「桐原水(きりはらみず)」が手水舎(てみずや=神社本庁の読み方、他に「ちょうず」等の複数の読み方があります)となっています。普通「手水舎」といえば龍の口からほとばしる水が水盤に溜まっている風景を思い出しますが、ここ宇治上神社では小さな社の底に湧いて流れる自然水を上手ですくい、下手でお清めをして流すという珍しい形です。

 

<手水の基本的な作法>

鳥居の前で一礼をして神域に入ります。手水舎に着いたら、邪念を払いここでも一礼します。

手水は身だけでなく心も清める作法ですので、形だけでなく、静かに心を落ち着かせる時間と考えましょう。

まずは柄杓を右手で持って水を汲み、そのまま3分の1程度を左手にかけて清めます。続いて水をこぼさないように柄杓を左手に持ち替え、やはり3分の1程度を右手にかけて清めます。その後、再び柄杓を右手に持ち替えて、左手の掌で受けた少量の水を口に含んですすぎます。くれぐれも柄杓に直接口をつけることのないように気を付けてください。すすいだ水を吐き出すときは、水盤に吐かず水盤の外の排水路に吐きます。また、エチケットとして左手を口の前に構えて隠します。このご時世ですので、今はどこの神社も口をすすぐ行為を禁じていますが、普段でも衛生面に配慮するなら口をすすぐ振りをして左手の水をこぼすだけで大丈夫です。最後に、両手で柄杓を持ち、水がはねないようにゆっくりと立てて、残った水を柄に流して柄杓も清めます。

すべて済んだら柄杓を元の場所に戻しておきましょう。

ちなみに、濡れた手はハンカチ等で拭いても構いませんが、折角お清めした手で服や髪を触らないように気を付けましょう。

 

長くなったのでここでいったん切り離します。

ということで「そうだ 京都、行こう!」の第2弾でした。

文責:石井