2005年11月15日に講談社文庫から発刊されたリチャード・P・エヴァンズの『クリスマス・ボックス』を読みました。温かくて、切なくて、まるでイヴの夜に音もなく降り積もる雪のように静かに心に染みてくる話でした。

国分寺スクールの表玄関に今年もクリスマス・ツリーが飾られました。
クリスマス、そして年末に向けて、街も少しずつ飾り立てられていきます。
毎年12月1日から、久米川駅南口ロータリーの枝振りも見事なけやきの木にイルミネーションが施され、季節の風に凍えてしまいそうな心にパッとひと時の華やぎを与えてくれます。近隣では国立の大学通りにある銀杏並木のイルミネーションが見事ですね。
一方で、原宿表参道のクリスマス・イルミネーションは、地元住民の反対運動が起こり、現在は廃止されています。確かに、人工物ではなく生きた樹木等への電飾は、環境負荷という観点から今一度考え直さなければいけない問題を含んでいます。その点への配慮もあってでしょうか、六本木ヒルズやお台場等のイルミネーションは発光に発熱を伴わないLED(発光ダイオード)を使用しているようです。
美しいものへの憧憬と命に対する敬虔さ。恐らくはどちらも失くしてはならない大切なものですね。けれども、そんなふうに考えるまでもなく大切なことのひとつひとつを、ぼくらはうっかり見過ごして暮らしていたりします。『クリスマス・ボックス』を読むと、そのことがよくわかります。
「この世で最初のクリスマスの贈り物」は一体何だと思いますか。答えは本書の中にあります。機会があれば是非お読み下さい。

 

※2022年現在は、原宿のイルミネーションも復活し、表参道のケヤキ並木がシャンパンゴールドの優しい光で彩られています。

文責:石井