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12 03, 2021

第46回「ミッションとインセンティブ」

By |2021-03-31T11:49:30+09:002021年03月12日|Uncategorized, 代表コラム|0 Comments

今回は資生堂元会長である福原義春氏について書いてみたいと思います。 氏は、芸術にも造詣が深く、特に写真は玄人はだしであり、東京都写真美術館館長等多くの公職にも就いておられます。 氏は、創業者一族に生まれながら、平社員からサラリーマン生活を始め、社長就任まで何と34年をかけた苦労人であることで有名ですが、そのことが彼の発言に重みを感じさせる大きな理由ではないか、と私は感じています。 今回は、彼のインタビュー記事の中から私がなるほどと思った部分を抜粋してみました。 氏が力を入れている活動や考えの特徴をなすものは、すぐに役立つ勉強ではなく、長期的に人格や知性を育てるものだという点にあります。「知識」や「ノウハウ」よりも「知性」「教養」を重視し、その「知性」や「教養」はその人の人生を支え、企業人としての骨格を形成するものと考えているようです。この点は、ファインズの理念である「四自の教育」と通じる点があるように思います。 『むしろマネジメントの原理は、社会での活動から学んだといってよいかもしれませんね。ボランティアは無給の活動であり、個々人の自発的動機から生まれるものです。仕事するときでも「社長のために働け」というのではインセンティブにならないでしょう(笑)。鞭でたたいて、飴をぶら下げたほうが会社は発展するかもしれませんが、私は目先の1年の利益よりも長いことお客様に信頼されて10年間利益をあげ続けるほうを大切に考えてきました。 累積利益を大きくすればよい、という考え方です。 社員のモチベーションをどうやって作り出すのか考えることがリーダーの責任です。確かに、命令によって人は動くけれども、命令でなく動く人々の力よりもそれは小さい。 これからはNPOで働く人々のモチベーションを営利組織である企業の人の動機付けにいかに応用するか。未来のリーダーに求められるのは、そんなリーダーシップではないでしょうか。』 この氏の考え方は、海外でのある体験が元になっています。それは、ニューヨークのメトロポリタン美術館を訪ねたときのことです。 ......

12 03, 2021

第44回~第45回「ナガサキの原爆稲」

By |2021-03-31T11:49:30+09:002021年03月12日|Uncategorized, 代表コラム|0 Comments

前回紹介した「被爆ピアノコンサート」に参加したときのことです。会場に「稲穂」が飾ってあるのに気がつきました。会が終了し、帰ろうと受付の前を通ると新聞のコピーが置いてありました。 立ち止まって見ると、「ナガサキの原爆稲」という文字が飛び込んできました。 1部持ち帰りました。自宅で読んで複雑な思いがしました。ここで紹介しましょう。 1945年10月。九州大学農学部の調査団が、爆心地から約500mにある天主堂近くの田んぼで被爆した「稲」を採取しました。この「原爆稲」は代を変えながら、植え継がれ、今全国に広まっているそうです。 栃木県の農家である上野長一さんは、自分の田んぼの一角で、保存用としてこの「原爆稲」を栽培し、この演奏会に送ってきたのだということがこのコピーからわかったのです。 以下、「日本農業新聞(2010年8月5日付)からの抜粋です。 『病気にかかったわけでも、虫に食われたわけでもないのに、何世代を経ても通常の半分しか実らない稲がある。(中略) 6日に広島、9日は長崎に落とされた原爆は、推定21万4000人の犠牲者を出し、今も後遺症で11万人以上が苦しんでいる。被爆しながら生き抜いた稲も同様だ。今も戦争の'生き証人'として、長崎から各地に栽培が広がり、平和の尊さを伝え続けている。 稲は原子爆弾の放射能の影響で、染色体が切れて入れ替わる異常が発生した。花が咲くところまでは普通の稲と見た目は変わらないが、穂の半分は中身のない白い空モミとなる。 現在は放射線を人工的に植物に当てることが可能となり、研究材料としての価値はほとんどなくなってしまった。しかし、その種を「被爆の現実を伝えるために残し、たくさんの人に広めよう」と九州大学卒業生の古賀さん(69)が95年、同大学から20粒ほどの種を譲り受け栽培を続け、今では全国に広まっている。 ......

12 03, 2021

第42回~第43回「被爆ピアノ」

By |2021-03-31T11:49:30+09:002021年03月12日|Uncategorized, 代表コラム|0 Comments

先日ジャズピアニスト河野康弘さんの「被爆ピアノ平和記念コンサート」が国分寺で開かれましたので参加をしました。その暖かい人柄にふれ、多忙な中でともすれば忘れがちな人への思いやりを思い起こし、しばし幸福な時間をすごさせていただきました。 河野さんとは、ファインズ開校以来のお付き合いです。ファインズでは、生徒の皆さんに生きた学問を少しでも体験してもらうため、社会で活躍する方々をお招きして「ヒューマン講演会」を開校1年目から行ってきました。これまでに「東大地震研の先生」「三鷹天文台の先生」「五輪メダリストの黒岩彰さん」「ネパールの子供たちに井戸掘り等の支援を行っている増田さん」等々各界で活躍されている方々に協力していただいています。 河野さんのことは「新聞」を通して知りました。ある時、新聞を何気なく見ていると、「南アフリカの子供たちに中古ピアノを寄贈」という文字が目に留まりました。 『全国には約600万台のピアノがあり、そのうち450万台は使われず「物置台」となっている。(皆さんの家にも「大きな花置き台」となっているピアノはありませんか?)多くの木を切り倒し作ったピアノが使われもせず、放置されるのはピアノに申し訳ない。そこで、調律をしたうえで、南アフリカの学校に寄贈している。しかし、船便代がかさむため寄付を集めている』ということでした。 何とか協力できないものだろうか。日本の子供たちは本当に恵まれている。そのことをさりげなく教えるためにも、ぜひファインズで協力できることはないだろうか。 そこで、ファインズでコンサートを開いていただくことにしました。残念ながら、塾にピアノはありませんから、ギターを使ってのコンサートです。子供たちはお手伝いをして貯めたお金を握り締めてコンサート会場(教室)に集まってきました。 このヒューマンコンサートは、子供たちに新鮮なショックを与えたようです。 豊かな日本と同じ時代を生きていながら、世界中には2200万人以上のストリートチルドレンが今日も食べるものがなく、学校にも行けないで懸命に生きています。 その現実に触れたとき、子供たちは自分達がいかに恵まれているかという境遇に自然に感謝の気持ちが湧いてきます。 河野さんがこれまで行ってきた「平和への行動」は、この「被爆ピアノコンサート」にも脈々と受けつがれていました。同時多発テロから9年を迎えた今年、ハドソン川沿いの公園で開催された「被爆ピアノコンサート」は、静かな波動のように感動は世界に広がっていきました。 ......

12 03, 2021

第40回~第41回「三上」と「三中」

By |2021-03-31T11:49:31+09:002021年03月12日|Uncategorized, 代表コラム|0 Comments

昨今の子供事情 最近の子供たちを見ていて感じることがあります。 今年のサマーキャンプで、授業の様子を見て回ったときのことです。 小学校4,5年生がグループワークをしていました。生徒は数人でグループを組み、ひとつの課題でディベートをしているところでした。私は授業の邪魔にならないように後ろのドアのところでしばらく見ていました。しばらくして「あれっ」と思いました。 人間とは面白いもので、数人が集まると自然にリーダーシップを取るものが出てくるものです。これは小学生ではとても顕著に現れ、その日初めて会った子供同士でも、何か課題を与えてみれば、その中で指導的役割を発揮する生徒が必ず現れます。いや、これまでなら現れていました。入社試験や中高一貫校の入学選抜方法としてグループワークを取り入れている企業や学校が多いのは、この選抜方法がリーダーシップをはかるのに適しているからでしょう。 ところが、このとき主導的な役割を取っている生徒がいないグループがあるようなのです。それもひとつやふたつではありません。ほとんどのグループで作業が進まず、生徒はただ突っ立っているだけなのです。教師も最初は生徒の「自立」を促していましたが、痺れを切らし、とうとうアドバイスを出し始めました。 その様子を見ていてわかったこと。それは彼らは理解していないわけではなく、また、意見を持っていないわけでもないということです。なぜなら、教師の一押しで動けたのですから・・・ 今このような生徒が非常に増えているのではないかと危惧しています。「マニュアル人間」が増えたということは、企業の人事担当者からよく聞きます。しかし、その「マニュアル人間」ともどうも違うようです。「マニュアル人間」は、マニュアルの範囲を出ないにしても、少なくとも「動き」はあるのです。ところが、このときの生徒たちはそもそも「行動」そのものがないのです。われわれファインズの理念である「四自の教育」を実践することが、今こそ要求されるときはないとつくづく感じた次第です。 行動に移せない子供たち 先日ある新聞を読んでいたら、これと全く似たような子供の記事が出ていました。 ......

12 03, 2021

第37回「論語素読」

By |2021-03-31T11:49:31+09:002021年03月12日|Uncategorized, 代表コラム|0 Comments

~頭だけでなく、「心」も磨こう!~ ファインズでは開校以来「四自の教育」を掲げ、「知育」の一貫として、「自然体験教室」「理科実験教室」社会人を招いての「ヒューマン講演会」に早くから取り組んできました。しかしながら、経済的な「豊かさ」に反比例するかのように、年々子供たちの「心の豊かさ」は失われているように感じています。 「家に三声あり」といいます。NHKドラマの影響か、現在「龍馬ブーム」ですが、昔、わが国には家庭に「声」が満ち満ちていた時代がありました。幼子の泣き叫ぶ「声」。父や母の生活感あふれる「声」。そして、子供が端座して「論語」を素読する「声」。 ITによる情報が氾濫する一方、「生の声」はますます希薄になっている気がしているのは、私だけではないと思います。 PISAテストの順位が大きく低下していることもゆゆしき問題です。しかし、子供たちに「精神的支柱」が欠け、彼らの「精神」が「何のため」がわからず浮遊している状況で、どうして「知識」を「見識」に変えることができるでしょうか。 こんなときこそ「先哲の声」に耳を傾けてみるのもいいかと思い、この講座を思い立ちました。まずは、「子供の声」の再生から始めたいと思います。 希望者は必要事項を記入し、8月27日までにファックスしてください。 申込は先着順とし、定員になり次第締め切ります。 ~第1期生 実施要項~ ......

12 03, 2021

第35回~第36回、第38回~第39回「鯨の曲芸」

By |2021-03-31T11:49:31+09:002021年03月12日|Uncategorized, 代表コラム|0 Comments

~マネジメントの極意~ 不思議なこと 私は以前からずっと不思議に思っていたことがありました。それは、「高層ビルの建設時のクレーン」です。高層ビルを建設するとき、資材を運ぶクレーンがビルの最上部にあります。ビルが高くなるにつれてクレーンも高くなっていき、とうとう完成したときは最上階にそびえています。 ところが、「完成したのかな」と思ってふと見ると、昨日まで天をつくようにそびえていたあのクレーンが、忽然と姿を消しているではありませんか。 「いったいあのクレーンはどうなったのだろうか?」 「どうやってあの巨大なクレーンをこんな短期間で取り外したのだろうか?」 ずっと不思議に思っていました。あるとき建設会社に勤務する後輩に聞いてみました。納得しました。皆さんはどうやってクレーンを取り除くと思いますか?一度調べてみてください。 さて、8月に入り「真夏日」が続いています。ご家族で「水族館」に行かれる方もいると思います。私も何度か行ったことがあります。見所はいろいろありますが、 子供たちに人気があるのはなんといっても「イルカの曲芸」でしょう。「水族館」によっては、「シャチ」や「鯨」のジャンプ・ショーまであります。 最前列になどいれば、着水のときにずぶぬれになってしまいます。(これがまた子供たちにとっては楽しいのですが・・・) 私はずぶぬれになりながら思うのです。「あの巨大な鯨やシャチをどうやって教え込んだのだろうか?」と・・・ ......

12 03, 2021

第31回~第34回「脱「ゆとり教育」を考える」

By |2021-03-31T11:49:32+09:002021年03月12日|Uncategorized, 代表コラム|0 Comments

今回は「ゆとり教育」の見直しについて考えてみましょう。 2011年度は小学校で、2012年度は中学校で新指導要領が全面的に導入されます。すでに小学校では移行措置として導入が始まっています。新聞報道等で導入されることは知られていますが、一般的には内容まで知られていません。 そこで、できるだけわかりやすくポイントを絞って解説してみることにします。 いまなぜ脱「ゆとり」なのか 今回の「ゆとり教育」見直しについて述べる前に、そもそも「ゆとり教育」を導入した経緯について簡単に振り返ってみることにしましょう。 2002年完全学校5日制と「ゆとり教育」導入 1998年12月、当時の文部省は「ゆとり教育」の名の下に、2002年度より完全学校5日制を導入し、同時に大幅なカリキュラムの削減を骨子とする「新学習指導要領」の実施を宣言しました。当時の学校現場では「学級崩壊」「学校崩壊」「落ちこぼれ生徒の増大」「不登校児の増大」「校内暴力の増加」「いじめの陰湿化」「中途退学者の増加」等々数多くの問題を抱えていました。 このような病理現象を生み出している原因が、「受験戦争」と「過重なカリキュラム」であるとの認識から、文部省は中央教育審議会に対し、指導要領の見直しを要請したのです。 その結果、「教科書が3割薄くなった」と言われるほど大幅に重要な単元が削減されました。しかし、実際に発表された要領を見ると、削減単元に一貫性が欠け、削減された単元以上に「練習問題」がカットされていることから、教育現場は「これでは定着のために必要な練習問題が足らない。返って落ちこぼれを増加させる」と警鐘を鳴らしました。 そして、その警鐘が現実のものとなり、10年を満たずして「ゆとり教育」は見直されることになったのです。 ......

12 03, 2021

第27回~第30回「願いの中に 自分が生かされている」

By |2021-03-31T11:49:32+09:002021年03月12日|Uncategorized, 代表コラム|0 Comments

私はある月刊誌を年間購読しています。その中にポケットブックが入っているのを見つけ手にとって見ました。 そこに東井義雄さんという生涯を教育にささげた人の話が載っていました。 その中の心温まる話です。原文のまま掲載します。 『私は主人が早くに亡くなりました。 女の子一人の母子家庭だったんですけど、主人が亡くなってから、くず屋の仕事を続けて、女の子を養いました。』 幸い、小学校のころは、いい子だ、やさしい子だと、皆さんから誉めていただいていたんですが、中学校になってから、ぐれ始め、とうとう中学二年の時には警察のお世話になるようなことになってしまいました。 あのいい子だいい子だといわれた子が、なぜこんなことになったんだろうか、どう考えても分かりません。 それが偶然わかったことですが、『いくら勉強できるからといって、くず屋の娘やないか』といわれたことが大きなショックになって、『お母さんがあんな仕事やっているから、いくら勉強やったって、みんなからバカにされる』と考え、それからぐれはじめたということがわかりました。 しかし、このくず屋の仕事をやめてしまっては、もう今日からの暮らしに困ってしまいます。 かといって、ただ一人の女の子が、こんなことでは、亡くなった主人に申し訳ございません。 ......

12 03, 2021

第25回~第26回「発想の転換」

By |2021-03-31T11:49:32+09:002021年03月12日|Uncategorized, 代表コラム|0 Comments

(第25回) あるアメリカの工作機械メーカーが、家庭用ドリルとして4分の1インチのドリルを作りました。 ところが、たいしたマーケッティング調査もせずに作られたこのドリルは家庭用のものとしてはめずらしく爆発的なヒット商品となったのです。 そこで、なぜこのドリルが売れたのかが検討され、役員会でも話題になりました。このとき、この会社のCEOはマーケッティング担当者の報告を聞いて、こう答えたといいます。 「昨年度、4分の1インチのドリルが10万個売れた。これは、人が4分の1インチのドリルを欲したからではなくて、4分の1インチの穴を欲したからである。」 このCEOの言葉がヒントになったのでしょう、マーケット担当者は各家庭でどのような大きさの穴をあける需要があるかを調査しました。 その結果、出来上がった商品は、「本体は1つ、多様な替刃をもつドリル」でした。インチごとのドリルを売るのではなく、ドリルの刃を替えることにより、各家庭での幅広い需要に応えることができるドリルを作ったのです。 この商品は市場を席巻しました。(100万台以上売れたといいます。) 今でこそ、日用大工の商品としては当たり前のようにDIYスーパーの商品棚に並んでいるドリルですが、その背後には一人のCEOの発想の転換があったのです。 この話は、顧客は製品を買うのではない。製品がもたらすベネフィット(便益、利便性)に対する期待を買うのだというレビットの主張を端的に表していると思います。 ......

12 03, 2021

第20回~第24回「どうしたら「やる気」がでるのか?」

By |2021-03-31T11:49:33+09:002021年03月12日|Uncategorized, 代表コラム|0 Comments

~モチベーションとは何か~ 古今東西、あらゆる教師・保護者が腐心するのは「どうしたら生徒(子供)がやる気を出して、学習してくれるのか」という点でしょう。 これは一人でも部下(子供)を持つ立場にあるものが、与えられた仕事(役割)から目をそらさずに目標(希望)を達成しようとすれば、必ず突き当たる大きな壁ではないでしょうか。 今回はフレデリック・ハーズバーグの有名な論文「モチベーションとは何か」を参考に、生徒(子供)をやる気にさせるヒントがないかいっしょに考えてみたいと思います。 ハーズバーグって誰? ハーズバーグはアメリカの臨床心理学者(元ユタ大学教授)です。彼の論文(1968年)で主張された欲求に関する「二要因理論」は、 ハーバード・ビジネスでも最多の100万部以上のリプリントを記録しているほどです。 彼は人間のモチベーションを、動物的な欲求あるいは経済的な欲求(衛生要因あるいはメインテナンス要因)と、心の奥底にある向上心を満たす欲求(動機付け要因)とに分け、 「やる気」という心理的・抽象的分野を行動科学の面から分析したことにより、この分野の第一人者の評価を得ている学者です。 では、彼の論文をのぞいて見ましょう。 ......

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